2025年6月、首都圏で天下一品の10店舗が一斉に閉店するというニュースが話題となっています。
1971年創業の老舗ラーメンチェーン、天下一品はこってりスープという唯一無二の特徴で多くのファンを獲得してきました。
しかし、業界の変遷や消費者の味覚変化など、複数の要因が閉店の背景にあることが浮かび上がってきます。
今回は過去の事例を参考に、天下一品の閉店の背景を深掘りします。
- 天下一品の首都圏10店舗閉店は業界の競争激化と価格高騰が背景にある。
- ラーメン業界の変遷を踏まえた経営戦略の変化。
- 「こってり系」唯一無二感の薄れが閉店要因の一つ。
- 消費者心理や食文化の変化も影響している。
業界全体における天下一品閉店の背景

天下一品は首都圏店舗のうち約3割にあたる10店舗を6月30日に閉店する予定です。
主な理由は、物価高騰や人件費上昇など飲食業界共通の課題、さらに濃厚系つけ麺店の増加により「こってりスープ」の独自性が薄れ、競争が激化している点も影響しています。
ラーメン業界は年間3800店舗が新規参入し、開業1年以内に約40%が倒産するなど、非常に競争が厳しい業界です。
過去の事例と照らし合わせる
昭和後期から平成初期、ラーメン業界はバブル景気と共に多店舗展開が加速しました。
しかし1990年代後半の景気後退で、多くの大手チェーンが経営難に陥り閉店が相次ぎました。当時の閉店理由には「競争過多」「消費者の嗜好変化」「素材価格高騰」が挙げられます。
天下一品も一部店舗の閉店や業態転換を経験しましたが、こってり系ラーメンという強みで再び人気を取り戻してきた歴史があります。
消費者心理と味覚の変化
かつて「天下一品=こってりの代名詞」として唯一無二感があったものの、近年は「ドロドロ系つけ麺」の台頭でこってり系スープの珍しさが薄れた印象です。
消費者は「こってり」より「変化」「新しさ」「バリエーション」を求める傾向が強く、特に若年層にはSNS映えするメニューや健康志向のあっさり系メニューが支持されています。
今後の天下一品と業界展望
天下一品は全国に209店舗を展開し、首都圏以外では堅調なエリアも存在します。
今後は地方市場への注力やメニュー多様化、デジタル戦略の導入が求められるでしょう。
過去の類似事例と業界全体の背景
天下一品の大量閉店に似た事例として、2007年の「東池袋大勝軒」の閉店が挙げられます。
近年では物価高騰や人件費上昇、競争激化により多くのラーメン店が閉店を余儀なくされています。
2023年度には負債1000万円以上の倒産件数が過去最多の45件となり、業界全体に構造的な課題が存在しています。
天下一品の閉店も、こうした業界全体の課題と無縁ではないでしょう。
まとめ
天下一品の閉店背景には、業界の競争激化や価格高騰、消費者心理や嗜好の変化が影響しています。
過去の事例から見ても、変化に対応できる柔軟な経営戦略が求められています。
変わりゆく食文化と競争の中で、天下一品がどのように進化していくのか、引き続き注目されます。
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