椎名林檎「白日のもと」歌詞考察｜映画とリンクする“恐怖の本質”とは？

2025年8月8日公開予定のホラー映画『近畿地方のある場所について』。

その主題歌として発表されたのが、椎名林檎さんによる書き下ろし楽曲「白日のもと」です。

現時点でフル歌詞は公開されていませんが、予告映像で流れた一部の歌詞とメロディ、そして椎名林檎さん本人のコメントから、この楽曲が映画とどのようにリンクしているのかを読み解きます。

椎名林檎のコメントに見る“恐怖”の本質

椎名さんは公式コメントで次のように述べています。

ホラーは私の十八番です。こんなに恐ろしい原作の映画に際し、主題歌をご注文いただき、感激しきりです。
……この物語に重く横たわる問題系へ口笛向き合いました。それは自身の問題でもあり、人生に於る最も大きな脅威で、真に迫る描写を目指すほどに苦しかった。

この“最も大きな脅威”という表現は、単なる外的恐怖ではなく、人間の内面に潜む不安、罪、喪失といった心理的テーマを指していると解釈できます。

つまり「白日のもと」は、精神的恐怖に音楽で向き合った作品といえるでしょう。

予告編から伝わる音像と歌詞の世界

予告編で流れる一節「誰のための真実だったのか」（※耳コピ）とともに、ピアノ主体の静謐なサウンドが印象的です。

終始張り詰めた空気が続き、情緒の高まりよりも心を冷やすような印象を受けます。

映像では“封印された町”“友人の失踪”といったミステリアスなテーマが描かれており、この主題歌はそれらの”語られざる背景”と共鳴しているように感じられます。

「白日のもと」が象徴するもの

「白日のもと」とは、“明るみに出すこと”を意味しますが、本作ではそれがむしろ“恐怖”として描かれています。

隠されてきた罪、記憶、真実が露呈したとき、人はどう反応するのか。

このタイトルは、登場人物たちが避け続けてきた問題や秘密を見つめ直す瞬間を象徴しており、まさに物語の核心と一致しているのです。

主題歌「白日のもと」のフル配信・MV公開はいつ？

現時点で、フル配信日やMV公開日は発表されていません。

しかし、映画の公開日が2025年8月8日であることを考えると、7月末から8月上旬にかけてリリースされる可能性が高いと見られます。

椎名林檎さんの過去のタイアップ作品を見ても、公開直前や初日に合わせて楽曲が解禁される傾向があります。

今回もそれに倣ったスケジュールになると考えられます。

MVでは、映画の世界観とシンクロした独自の映像美が期待され、作品と楽曲の両面で話題となるでしょう。

また、どのシーンでこの曲が流れるのかも注目です。エンディングか、物語のターニングポイントか――想像を掻き立てる演出が期待されます。

映像作品との過去コラボとその共通点

椎名林檎さんはこれまでも映像作品とのタイアップを数多く手がけてきました。その中でも印象的な事例を以下に紹介します：

作品名	主題歌	ジャンル	特徴
さくらん（2007）	この世の限り	映画（時代劇）	欲望と孤独が交差する遊郭の世界観を音楽で再現
蜜蜂と遠雷（2019）	獣ゆく細道	映画（青春音楽）	才能と葛藤のドラマを鋭い歌詞と緊張感で支える
三毒史（舞台）	鶏と蛇と豚	舞台	社会的テーマを音楽で批評的に描写
美しき凶器（ドラマ）	ジユーダム	サスペンス	制御不能な衝動と支配を音楽で際立たせた印象的な楽曲

これらの作品に共通するのは、人間の奥深い感情や社会の矛盾に向き合うという姿勢です。今回の「白日のもと」もまた、その系譜に連なる楽曲といえるでしょう。

まとめ

主題歌「白日のもと」は、単なるホラーの“怖さ”を演出する音楽ではなく、人が向き合いたくないもの、見て見ぬふりをしてきた記憶や罪に静かに焦点を当てる作品です。

映画『近畿地方のある場所について』の公開と共に、この楽曲がどのように人々の心を揺さぶるのか。今後の展開がますます楽しみです。