2025年9月8日(月)未明、日本全国で3年ぶりに皆既月食が見られます。
満月が地球の影にすっぽりと入り込み、西の空で赤銅色に染まる幻想的な姿を見られる絶好の機会です。
必要なのは正しい時間と方角を押さえておくこと。スマホでも撮影できるので、多くの人が楽しめる天体ショーです。
記事のポイント
- 日本全国で観測可能:時間は全国共通で未明から明け方に進行。
- 赤銅色に輝く理由:地球大気による屈折・散乱の影響。
- 観測のコツ:西側が開けた場所、防寒対策、スマホ夜景モード。
- 次回のチャンス:2026年3月3日に再び日本で皆既月食。
目次
皆既月食はいつ・どこで見える?
- 日程:2025年9月8日(月)未明(7日(日)夜から日付をまたいで観測)
- 場所:日本全国(全国で同じ時刻に進行)
- 方角:南西から西の空にかけて移動し、時間が進むにつれて低くなる
- 見え方:皆既中は赤銅色の「ブラッドムーン」。肉眼でも安全に観測可能
全国共通の時刻表(JST)
フェーズ | 時刻 | メモ |
---|---|---|
半影食開始 | 0:28 | うっすら影がかかる |
部分食開始(U1) | 1:27 | 月縁から欠け始める |
皆既食開始(U2) | 2:31 | 月全体が影に入り赤く暗くなる |
食の最大 | 3:12 | 最も深く影に入る瞬間 |
皆既食終了(U3) | 3:53 | 再び明るさが戻り始める |
部分食終了(U4) | 4:56 | 欠けが完全に終わる |
東京例:皆既開始時は南西233° 高度約31°/最大時は西南西241° 高度約24°。
石川県能登町での見え方
添付図によると
- 皆既開始(2:31) 高度 約25°
- 最大食(3:12) 高度 約20°
- 皆既終了(3:53) 高度 約15°
- 部分終了(4:56) 高度 約5°(地平線付近)
後半ほど高度が下がるため、西の空が大きく開けた場所がおすすめです。
なぜ赤い月になるの?
皆既月食中に月が暗赤色に見えるのは、地球大気が赤い光を散乱しにくく、屈折して月面を照らすからです。
火山噴煙や大気の状態によっては、さらに暗く赤みが増すこともあります。
本当に暗くなるのか?過去の事例から
明るさの減少
- 2011年12月10日の皆既月食では、山梨県で夜空の明るさが10倍以上暗くなったことが観測されました。満月時に比べ、月明かりの影響がほぼ消え、星空が際立つ夜となりました。
- 2003年5月16日、2004年10月28日の観測では、月の明るさが約10.7等分減光(約50万分の1の明るさ)になることが確認されています。満月の視等級−12.7等が、皆既中には+1等級ほどにまで落ち込んだ計算です。
ダンジョン・スケールの例
- スケール0(非常に暗い):1982年12月30日、メキシコ・エルチチョン火山噴火の影響で月がほとんど見えず、ほぼ真っ暗に。
- スケール1(暗い):1993年6月4日、ピナツボ火山噴火の影響で、月がうっすらとしか見えなかった事例もあります。
世界の皆既月食と比較してみる
皆既月食は地球規模の現象ですが、地域ごとに「見え方」や「進行状況」が異なります。
- 北米・南米:今回の2025年9月8日の月食は、日本の未明にあたるため観測は難しく、北米では一部地域で部分食の終盤が見える程度。
- ヨーロッパ:月が沈む時間と重なるため、皆既食の全過程は見えにくいと予測されています。
- アジア・オセアニア:日本や中国、オーストラリア東部では条件が良く、皆既の全過程を観測できる好機。
このように、同じ天体現象でも場所によって印象が大きく異なります。日本は今回“観測好条件エリア”にあたり、より貴重な体験ができます。
観測と撮影のポイント
天気と観測チャンス
- 関東〜九州の太平洋側:おおむね晴れており、観測チャンスが高いエリア。
- 北海道沿岸・沖縄:晴れるエリアが多い予報。ただし湿度や雲量によっては曇る可能性もあり。
- 北陸〜東北の日本海側:秋雨前線の影響で曇りや雨の予想。観測にはやや厳しめ。
- 全国的な傾向:過去の9月上旬の気象統計では、東〜西日本は比較的晴れやすい日が多く、期待値は高め。
都市別の予報傾向(目安)
都市 | 傾向 |
東京 | 晴れ濃厚、観測条件良好 |
大阪 | 晴れやすく、好条件 |
札幌 | 晴れる時間帯あり、雲の切れ間を狙う |
金沢 | 雲や雨の可能性が高く観測難しい |
那覇 | 晴れの予報多め、低空まで見渡せる場所が有利 |
観測の準備
- 未明は冷えるため、防寒着や温かい飲み物を用意
- 西側が開けた場所(河川敷・高台・公園広場など)を選ぶ
- 双眼鏡(8〜10倍)で月面の表情を楽しむ
スマホ撮影のコツ
- 夜景/Proモードを活用:ISO200〜800、露出1/30〜1/4秒
- 三脚+タイマーで手ブレを防止
- デジタルズームは控え、後からトリミング
カメラ撮影
- 望遠レンズ200〜600mm推奨
- 部分食は短めの露出、皆既は長めに設定
- RAW撮影や露出ブラケットで後処理しやすく
今後の皆既月食予定
- 2026年3月3日:日本で観測可能(宵の時間帯で見やすい)
- 2029年1月1日/12月21日:次の皆既月食
見え方は毎回異なるため、今回の観測記録を残しておくと比較が楽しめます。
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まとめ
2025年9月8日未明の皆既月食は、全国で同じ時間に観測可能。
方角は南西〜西、後半ほど低空になるため西空が開けた場所で観測を。防寒と簡単な撮影準備で、3年ぶりの赤銅色の満月を存分に楽しめます。
過去の事例でも「夜空が10倍暗くなる」などインパクトある現象が報告されており、今回も“日本で一番暗い夜”になるかもしれません。
さらに、世界の他地域と比べても日本は観測条件に恵まれています。次回は2026年3月3日、ぜひ今回の体験を次に活かしましょう。
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