2025年6月、石破茂総理は次期参院選の自民党公約として「2040年までに名目GDP1000兆円の経済を目指す」と明言しました。
平均所得を現在より5割増やすというこのビジョンは、国民の暮らしに直結する大きな目標である一方、SNS上では早くも「実現性はあるのか?」「ただの選挙向けパフォーマンスでは?」と疑問の声が噴出。
専門家の見解も交えながら、この壮大な公約の“現実性”に迫ります。
- 石破総理は「2040年までに名目GDP1000兆円、平均所得5割増」を参院選の最重要公約に掲げた
- SNSでは「手取りが増えるわけではない」「税金で吸い上げられる」と懐疑の声多数
- 専門家は「インフレ込みなら可能性はあるが、実質の豊かさとは別問題」と指摘
- 今の生活の苦しさと、15年後の“数字だけの未来”とのギャップが最大の争点に
石破総理の「2040年ビジョン」とは?

石破総理は6月9日、自民党幹部との会合で「2040年までに名目GDP1000兆円を目指し、平均所得も5割以上増加させる」と明言しました。
これを参院選の“最優先公約”とするよう指示が出されたとされています。
さらに「物価上昇を上回る賃上げで安定した社会をつくる」とも述べ、民間企業の挑戦や投資を後押しする姿勢を示しました。
ただし、この発言が行われた直後から、X(旧Twitter)やYahoo!コメントなどには、以下のような声があふれています。
- 「所得5割増って手取りじゃないよね?」
- 「税金と社会保険料がスライドして結局負担が増えるだけ」
- 「2040年に向けてって、逃げてるようにしか見えない」
過去の類似公約と結果
政策名 | 実施年・政権 | 内容 | 結果 |
---|---|---|---|
所得倍増計画 | 1960年・池田内閣 | 10年間で国民所得を倍増 | 高度経済成長と重なり目標達成。生活水準向上 |
資産所得倍増計画 | 2022年・岸田内閣 | NISA拡充で資産形成促進 | 富裕層に恩恵。庶民には効果限定的 |
現金給付・定額減税 | 2023年以降 | 物価高対策の一時支援 | 短期的効果に留まり構造改革には至らず |
アベノミクス(三本の矢) | 2012年〜・安倍内閣 | 金融緩和・財政出動・成長戦略 | 株価改善も実質賃金伸びず格差拡大 |
働き方改革・同一労働同一賃金 | 2017年〜・安倍内閣 | 雇用格差是正・生産性向上 | 制度は整備も現場では期待外れ |
子ども手当 | 2009年〜・民主党政権 | 家計支援と少子化対策 | 財源問題と制度混乱で信頼を損なう |
これらの事例からもわかるように、政治公約が成功するかどうかは「数字のインパクト」よりも「具体的な実行力と制度設計」が問われることが多いのです。
専門家が語る「実現性」の壁とは
経済・政治の専門家たちも、今回の公約に対して慎重な姿勢を示しています。
「名目GDP」は“インフレ込みの数字”
東京大学・内山融教授は
「名目GDPが600兆円から1000兆円になるというのは、単にインフレが進めば数字上は達成可能」
と指摘。しかしそれは「実質的な豊かさの指標にはならない」と釘を刺します。
「物価が上がれば賃上げも意味を失う」
法政大学・白鳥浩教授も
「物価上昇によって所得の実質的価値が失われる」とし、「名目所得が5割増えても、生活が楽になるとは限らない」
と警告します。
賃上げは政府の仕事ではない?
また、「賃上げを行うのは企業であって政府ではない」
との指摘も。
仮にすべての企業に賃上げを求めれば、経営悪化や倒産リスクも出てくると懸念されています。
15年後の未来より「今」の説明責任
多くの国民が抱くのは「将来の話より今どうするのか?」という素朴な疑問です。
実際、物価高や増税、社会保障費の上昇によって家計が逼迫している中、「15年後に5割増えます」と言われてもピンとこないのが現実です。
SNSでも以下のような意見が見られます。
- 「未来を考えるのは大事だけど、今の暮らしに目を向けてほしい」
- 「どうせ選挙後は有耶無耶になる公約でしょ」
- 「現実的な財源や道筋の説明が一切ない」
まとめ
石破総理の掲げた2040年ビジョンは、夢のある数字である一方、国民の多くはその“実行性”と“現実味”に疑問を抱いています。
名目GDPや平均所得という抽象的な数値目標ではなく、それをどう実現するのかの“工程表”こそが問われているのです。
選挙が近づく中で、数字ではなく「説明と責任」が本当の勝負になるのかもしれません。
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