2024年5月22日、経済産業省はガソリン価格高騰への対策として「定額補助制度」を新たに開始しました。
これにより、全国のレギュラーガソリン価格は6週連続で値下がりし、6月2日時点で1リットルあたり174円30銭と、約1年3カ月ぶりの安値水準にまで落ち着いています。
しかし、この補助金はいつまで続くのか。そして終了した際には、どのような価格反動が起こるのでしょうか?
補助金の継続は短期的、終了後は急騰の懸念も

政府は補助金の終了時期を公式には発表していません。
しかし、制度の性質上、長期的に継続されるものではないと考えられています。
もし打ち切られれば、ガソリン価格は10円前後の急上昇を見せる可能性が高いでしょう。
補助制度の目的:価格急変を抑えるための暫定策
この制度は、2021年から2023年まで実施された「燃料価格激変緩和措置」の後継策です。
2024年の新制度では、石油元売りに対して1リットルあたり10円を定額で補助する仕組みを導入し、週ごとに補助額を微調整しています。
たとえば、5月29日から6月4日の補助額は8円40銭に設定されました。
このように柔軟な運用が可能な仕組みではあるものの、市場の安定が確認されれば、段階的な減額→終了という流れが見込まれます。
過去の例に学ぶ:補助金終了時の価格反動
2023年10月、前回の補助制度が一時終了した際には、1週間で4円前後の値上がりが発生しました。
突然の打ち切りは市場の混乱を招き、結果的に年末には180円台にまで上昇しました。
終了時期にルールはあるのか?政府の判断基準とは
補助金の終了時期には、法的な期限や明確なルールは設けられていないのが実情です。判断の主な基準は以下のとおりです。
- 国家予算の年度サイクルに合わせ、次年度に計上されなければ終了
- 「市場が安定するまで」「価格変動が落ち着くまで」といった柔軟な表現で継続判断が行われる
- 補助額の週ごとの調整を通じて、自然なフェードアウトを目指す運用
- 最終判断は経済産業省・財務省・内閣による政策的判断に基づく
これまでの政府発表でも「当面の間」「原油価格の動向を見ながら」など、不透明な継続表現が多く、政策的裁量の幅が広い制度と言えるでしょう。
実例で振り返る:過去の補助金とその効果
年月 | 補助制度名・内容 | 実施期間 | 背景 | 終了後の価格反動 |
---|---|---|---|---|
2008年4月 | トリガー条項一時発動(暫定税率廃止) | 約1カ月 | 原油価格高騰 | 約25円下落→復活後急上昇 |
2021年1月〜 | 燃料価格激変緩和措置 | 2021年〜2023年9月 | コロナ・戦争による原油高 | 終了後4〜6円上昇 |
2023年10月〜12月 | 補助段階縮小→終了 | 2023年10月〜12月 | 市場安定に伴い縮小 | 終了直後に4〜5円上昇、180円台に復帰 |
2024年5月〜 | 定額10円補助制度 | 2024年5月22日〜現在 | 再び価格上昇 | 現在174円台まで下落中 |
まとめ
ガソリン補助金は、あくまで一時的な物価安定策であり、いずれ終了する前提で設計されています。
重要なのはその「出口戦略」であり、突然の打ち切りは避け、段階的に縮小しながらソフトランディングさせることが求められます。
補助金の終了がいつになるかは誰にも分かりませんが、過去の反動を教訓とし、冷静な注視と事前準備が求められるフェーズに入ってきています。
読者や生活者としても、今後の動きを見逃さず、ガソリン価格と家計への影響に備えておくことが大切です。
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