飲食業界の中でも人気メニューとして不動の地位を築いてきた「カレー」。
しかし現在、その経営環境はかつてないほど厳しくなっています。
果たして、これから生き残るのは全国展開するカレー専門チェーンなのか、それとも個性で勝負する個人経営の店なのか──
その行方に注目が集まっています。
記事のポイント
- カレー専門チェーンは安定した供給力とブランド力で価格競争に強み
- 個人店はスパイスや体験価値で差別化し“行く理由”を作る必要がある
- 顧客の価格感度が高く、1,000円超えは消費者心理の分かれ目に
- 今後は「価格」か「価値」の二極化が進み、両者に生存余地がある
目次
チェーン店の強み:安定とスケールメリット

カレー専門チェーン(例:CoCo壱番屋など)の最大の武器は、スケールメリットです。
- 食材の一括仕入れによる原価率の低減
- 店舗運営のマニュアル化による人件費の効率化
- フードコートやロードサイドなど戦略的立地による集客力
- 全国展開によるブランド認知と安心感
また、コロナ禍でもデリバリーやテイクアウトにいち早く対応したことも支持を集めた要因です。
個人店の魅力:味の個性と体験価値
一方、個人経営のカレー店は「個性」が最大の武器です。
- 独自のスパイス配合や調理技法
- 店主のストーリーやコンセプトが体験として価値になる
- SNSでバズるビジュアルやユニークな世界観
ただし、課題も明確です。
- 原材料高騰の吸収が困難
- 価格転嫁による客離れのリスク
- 人手不足や属人性による運営の不安定さ
価格上昇時代の顧客心理:選ばれる条件とは?
「1,000円を超えると外食を控える」という声が多く見られるように、消費者の価格感度は非常に高まっています。
この中で、選ばれる理由は以下のように二極化しています。
- チェーン店:価格の安心感、速さ、均一な味
- 個人店:特別な体験、非日常性、話題性
日常使いにはチェーン店、特別な一皿には個人店——
という棲み分けが、今後さらに明確になると考えられます。
過去の事例から見る飲食業の淘汰
近年、他の飲食業態でも淘汰が加速しています。
以下に代表的な事例を整理しました。
業態 | 倒産・閉店の背景 | 備考 |
---|---|---|
ラーメン店 | 小麦粉・スープ素材の高騰、価格転嫁が困難 | 2023年度、倒産件数過去最多(100件超) |
焼肉店 | 国産牛の仕入れ価格急騰、光熱費・人件費の上昇 | 個人店の閉店が多発 |
居酒屋チェーン | コロナ後の飲み会文化の変化、宴会需要の大幅減 | 大手でも大量閉店が相次ぐ |
カレー業界も例外ではありません。
物価高、人手不足、顧客単価の限界という複合的な課題に直面しており、これは一過性の問題ではなく構造的なものです。
二極化する未来:勝ち残る道の条件
結論として、チェーン店と個人店のどちらにも生き残る道はありますが、その条件は大きく異なります。
チェーン店は「安定と拡大」
- 地方都市や郊外でのフードコート・ロードサイド型店舗に出店余地あり
- 家族連れや高齢者層にも受け入れられる定番の味と価格
個人店は「差別化と固定ファン」
- 地域密着で常連を大切にする姿勢
- SNSを活用した話題性やブランディング
- 「この店に行きたい」と思わせる世界観づくり
まとめ
今の時代、カレー店に求められるのは「安さ」だけではありません。
- 誰に届けたいのか?
- どんな価値を提供するのか?
この2点を明確にし、価格に頼らずとも選ばれる店舗づくりが求められています。
カレーという日常の一皿に、どれだけの物語と価値を込められるかが、今後の生き残りのカギとなるでしょう。
あなたが次にカレーを食べに行くなら、どちらを選びますか?
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