『バイオハザード』シリーズは、ホラーゲームの金字塔として進化を続けてきました。
中でも『7』『ヴィレッジ(8)』『レクイエム(9)』は、“新生バイオ”とされるラインに属し、視点や演出、恐怖表現に大きな変化をもたらしています。
この記事では、バイオ7からバイオ9にかけて、シリーズの「恐怖感の質」がどう進化し変化してきたのかを、視点・演出・敵キャラ・没入感といった観点から比較考察していきます。
- 『バイオ7』はシリーズ原点回帰のホラー演出で高評価を獲得
- 『バイオ8』はアクション性が強まり、“恐怖”よりも“爽快感”が優位に
- 『レクイエム』では再び“ホラーへの回帰”を感じさせる演出が話題に
- 視点(一人称・三人称)による恐怖体験の違いも明確
バイオ7:密室×一人称が生んだ没入型ホラー

『バイオハザード7 レジデント イービル』は、シリーズの中でも特異な“ファーストパーソン(一人称視点)”で描かれた初の本編ナンバリング作。
- ベイカー家という“閉鎖空間”
- 肌触りすら感じるリアルなグラフィック
- VRにも対応し、“プレイヤー自身が体験する恐怖”を演出
バイオ8:恐怖よりもアクションへ傾倒?
『バイオハザード ヴィレッジ』は、同じく一人称視点でありながら、より広大な舞台・バリエーション豊富な敵・戦闘シーンの強化が施され、結果的に“アクション寄りの作風”となりました。
- ドミトレスク城などの美しい建築と探索要素
- ボスキャラごとに異なるゲーム性(人形劇、工場ギミックなど)
- 武器強化や商人の登場など、ゲーム的快感の重視
これにより、恐怖感はやや希薄化し、「遊びやすくなったバイオ」という声と、「怖さが足りない」という声が二分されました。
バイオレクイエム:再び“恐怖”へ原点回帰?
2025年6月のティザー発表時点で、『バイオハザード レクイエム』には次のような印象が抱かれています。
- 湿った空気、微細な汗や毛穴まで描かれるリアルな人間描写
- 廃墟や暗闇、濡れた床、壊れた蛍光灯など“不快感”のある背景演出
- 一人称か三人称かは未発表だが、カメラワークが“逃げる視点”を想起させる
初期作の「生存ホラー」的演出を思い出させることから、再び“ホラーに寄ったナンバリング”として期待されています。
一人称と三人称、その違いと恐怖の伝わり方
視点 | 特徴 | 恐怖演出への影響 |
---|---|---|
一人称視点 | 視界が狭く、没入感が高い | 予測不可能な不意打ちに強く、VRと相性が良い |
三人称視点 | キャラ全体の動きや周囲の状況が見渡せる | 安心感があり、アクションとの相性が高い |
バイオ7・8は一人称を採用し、特にホラー寄りであるバイオ7ではその視点が効果的でした。
歴代バイオの恐怖演出:過去作の事例から
シリーズを通じて、カプコンは時代に応じた“恐怖演出”を模索してきました。
『バイオハザード』(1996)
- 固定カメラ視点と“ラジコン操作”による不自由さが緊張感を生む
- 音のない静寂と、犬の窓破りジャンプスケアが象徴的
- 限られたアイテム、セーブ制限で“本当に死ぬ恐怖”があった
『バイオハザード4』(2005)
- 三人称視点+肩越しカメラの革新で“見える恐怖”へ
- 敵が道具や連携を使い、従来のゾンビとは異なる脅威を提示
- 恐怖よりも戦略的な戦闘と緊張の持続を重視
『バイオハザード RE:2』(2019)
- オリジナルの演出(暗闇、廊下、足音)を現代技術で再構築
- リッカー登場やタイラント追跡の恐怖が話題に
- 光と音の使い方、カメラ演出で「予測できる不安」を巧みに表現
これらの流れを踏まえ、『7』での一人称視点による“極限の主観ホラー”、『8』での“ホラーアクション融合”、そして『レクイエム』での“再び湿度ある恐怖”という変遷は、シリーズが常に「今の恐怖」に向き合い進化している証とも言えるでしょう。
まとめ
- 『7』は“静と密”のホラー、『8』は“動と広”の恐怖体験へ
- 『レクイエム』は“湿度感ある静的恐怖”への原点回帰を感じさせる
- 視点の違いや敵の演出方法も、恐怖の伝え方に直結
バイオシリーズが“何を怖がらせたいのか”は、作品ごとに異なります。
その中でプレイヤーがどんな恐怖と向き合うのか──『バイオハザード レクイエム』は、その原点と進化の“結節点”となるかもしれません。
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